すでに伝えられているように、きょうから、黄海で米韓軍事演習がはじまります。
原子力空母ジョージワシントンをはじめイージス巡洋艦など米韓の12隻が参加していると伝えられる今回の米韓合同軍事演習は黄海で実施されるものとしては「最大規模」とされます。
演習水域は米韓側が黄海の軍事境界線とする北方限界線(NLL)からかなり離れた韓国南西部沖に設定されていることで、「北朝鮮への過度の刺激を避ける配慮もうかがえる」と伝えるメディアもありますが、軍事演習の詳細は漏れてきませんから、実際のところはどうなるのかは予測ができません。
この演習に強く反発している北朝鮮は、26日にも、祖国平和統一委員会が「さらに恐ろしい対応射撃を加えて敵の牙城を根こそぎ吹き飛ばす準備を整えている」と警告したのに続いて、きのうも朝鮮中央通信が、「(黄海に米韓の軍艦艇を侵入させるならば)結果は誰にも予測できない」と重ねて重大な警告を発しています。
一方のオバマ政権は、さらに、地上部隊による追加の米韓合同演習も検討しているということが伝えられています。
朝鮮半島はまさにいつなんどき「不測の事態」つまり戦争が起きても不思議ではない状況になっていると考えるべきです。
問題は双方が緊張を高めるのではなくいかに自制できるのかという、ごくごく「あたりまえ」のことを愚直に実行できるかどうかが問われているというべきです。
これもすでに伝えられていることですが、中国の楊外相は北朝鮮の北朝鮮の中国駐在大使と会ったのをはじめ、米国のクリントン国務長官、韓、日の外相と電話で「会談」、最大限の自制を求めたということです。
加えて、中国の戴秉国国務委員が急遽きのう(27日)の午後韓国を訪問して金星煥外交通商相と「意見交換」しました。
楊外相の韓国訪問を「延期」した中国が、外相よりレベルの高い戴国務委員を急遽韓国に赴かせたのはいかに事態を深刻にとらえているかの証左です。
きのう、日本のメディアの中には、中国がこの海域での演習を「容認」しているかのようなニュアンスで伝えたものもありましたが、これはあきらかにミスリードです。
中国が関係各国に「自制」を求めている意味を的確に認識できないメディアは失格です。
ここは間違いの一切許されないところだと考えます。
さらにいえば、いまこの問題の報道に携わっている人々が、60年前の「戦争」の歴史にさかのぼって事態を深くとらえることができているのかどうか、まさしくジャーナリストとしての、歴史への真摯な態度と具体的かつ深い認識が問われると、痛切に思います。
「北朝鮮の暴挙」を懲らしめるためなら何をしてもいいのだという「空気」をかもし出す恐ろしさについてメディアに携わる者はきわめて厳格な省察が求められることを忘れてはならないと思います。
(「北の暴挙」についての検証、吟味はまだ尽くされたわけではないという留保を前提にですが)
いまはどこに目を向けるべきかといえば、緊張をどう緩和していくのかにこそ向わなければならないというべきです。
いま放送しているテレビ番組でも、きょうからの「演習」に対して「北が何を仕掛けてくるかわからない・・・」と語る姿が目に入ってきました。
いま、何を、どう考えなければならないのか、本来は「簡単明瞭」なことなのですが、メディアの報道を目にすると、あるいはメディアで語る「識者」や「専門家」の話を聴きながら、実のところいかに難しいことであるのかを痛感します。
なによりも、戦争を起こしてはならないという自制にむけて、言論も存在をかけて、いまこそ語らなければ、その存在意義を失うと思います。
朝鮮戦争の「悪夢」をふたたび現実のことにしないために、言論は存在を賭けるべきだと、これは私自身への問いかけとしても、銘記しておきたいと考えます。
28日朝の深い「感慨」として・・・。
2010年11月28日
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