2010年05月07日
金正日総書記訪中終え帰国へ
予想されていたことですが、きょう6日(もう暦がかわりましたので、昨日ですが)は金正日総書記の動向についての情報がガクンと少なくなりました。
各メディアの報道も「・・・とみられています」「・・・の可能性もあります」「という情報もあります」という文体一色です。
それらを比較してみると、メディアによって事実関係(の推測)がずいぶん違っていることに気づきます。
こういうときは、つまり北京に入ってしまえば(釣魚台迎賓館に入ってしまうと)とにかく車の出入りを張るぐらいしかないわけで、動向がわからなくなることは当然のというか予想の範囲なのですから、無理してあやふやなことを報じる必要はないと、私などは、思うのですが、それでは現場では許されない、というか東京のデスクは許してくれないのでしょう。
私は、こうした推測をあれこれ書くより、きょう(6日)は、もっと大事なことに目を向けておく必要があると思いました。
一つは、アメリカの反響です。
米国務省の広報担当、クローリー次官補が5日の定例記者会見で、「金正日総書記が6日に胡錦濤国家主席と会談するとの情報について『われわれは中国と考え方を共にしており、会談に期待している』」(共同)と述べたというのです。
ただし、韓国の聯合通信が伝えた、
「金総書記が中国にいる事実を把握しており、あす中朝高官の会談が開かれるものと承知している。われわれはこの会談を予想し、これに関する立場を中国と共有してきた」
と伝えたのとは若干言葉のニュアンスが違っていますので、ここは原文での吟味が必要かと思います。
しかし、いずれにせよこのクローリー次官補の発言は重要な含みをはらんでいると思います。
もっとも、知ってか知らずか、どちらかは判然としませんが、この大事な部分がすっぽり抜け落ちてしまっている記事もあります。
たとえば、「クローリー米国務次官補(広報担当)は5日の記者会見で、北朝鮮の金正日総書記と中国首脳との会談について、『北朝鮮が自身の義務と約束を果たし、挑発行為を停止することを望む』と述べ、金総書記が核放棄に向けた約束の履行などを表明することへの期待感を示した。」(「読売」)といった記事です。
もう一つの重要なニュースは、今月15、16日の二日間韓国の慶州で日中韓3カ国の外相会議がひらかれることが今日(6日)発表されたことです。
このタイミングでの日中韓の外相会議です。
目には見えない熾烈な「火花」が飛んでいます。
これこそ要注目です。
また、もうひとつ加えると、韓国の反応が「八つ当たり状態」だと書いたのですが、これに李明博大統領がブレーキをかけたというのです。
「韓中両国間に外交をめぐる対立はない」という内容の報道資料を韓国外交通商部が、わざわざ発表したということです。
当然といえば当然のことですが、李大統領としても、これはまずいと考えたのでしょう。
朝鮮日報は「今月3日、4日の両日、外交通商部のシン・ガクス第1次官と、玄仁沢(ヒョン・インテク)統一部長官が張金森駐韓中国大使と面会して中国の責任ある役割を求めるとともに、中国が金総書記の訪中について事前に通告しなかったことに対し遺憾の意を伝えたのとは、態度が大きく変わった。
前日まで、駐韓中国大使を呼んで遺憾の意を表明していた同部と統一部が、突然方向転換したのは、大統領府内部の空気の変化と無関係ではないとみられる。」といささか不満げに伝えています。
さて、きょう7日以降、今回の金正日総書記の中国訪問について、中国、北朝鮮両者の間でどのような発表がなされるのか、注目です。
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