(承前)
朝鮮半島をめぐる問題、とりわけ米朝関係を軸として「最終幕」の舞台が始まるのかどうか?!
しかし、昨年末に到達していた「地点」から逆方向への「巻き戻し」が始まっていることを検証しなければ今起きていることの実体がつかめないという問題意識で書き継いでいるのですが、昨年末の「時点」まで書いたところで、状況に「追いつく」時間的余裕がなくなったのかもしれません。
きょう未明にかけて共同、時事と新聞全紙が、金正日総書記の中国訪問が近い、もしくは、すでに中朝国境の丹東に入ったというニュースを伝えています。
またNHKをはじめテレビ、ラジオもあさのニュースで伝えています。
発端(のひとつ)は、昨日の夕方、韓国の聯合通信が伝えた「北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の中国訪問が間近に迫っているという兆候がとらえられていると、政府高官が2日に伝えた。」(2010/05/02 16:59)という速報だと考えられますが、日本の各メディアのなかには記者が丹東に入って取材し、丹東発で伝えてきているものもありますから、いくつかのソースで金正日総書記訪中がつかめたのかもしれません。
今回のテーマでの書き出しに
普天間−ワシントン核サミット−黄ジャンヨプ訪米、来日−金正日総書記訪中問題−天安沈没「事故」−韓国6月地方選挙−中国海軍演習−中井拉致担当相訪韓−金賢姫来日問題−小沢幹事長と検察審査会−上海万博開幕、そしてキャンベル国務次官補来日と日米同盟の今後、さらには東アジア共同体構想・・・。
と掲げて書き継いでいるのですが、冒頭に書いた「最終幕」の緞帳を上げることが出来るかどうか、その「最終幕」とはどのような意味を持っていて、そのための条件は何であるのかを明らかにしておく必要があると考えたのでした。
事態がどう動こうとも、このことの重要性は変わらないと確信していますが、もし各メディアがこぞって伝えるように、金正日総書記の訪中が「一両日中」、もしくはすでに中国に入った、ということならば、昨日までに書いてきたことから上海万博開幕まで時間を一挙に飛ばして確認しておかなければならないことになります。
そうは言っても、昨日引いた、昨年末の習近平中国副主席の「朝鮮半島問題は緊張緩和の兆しが出てきている」「新しいチャンスを迎えている」という重要な発言にみられる「緊張緩和」をよしとしない「逆ネジ」が、普天間問題と密接にからみ合いながら、強力な「巻き戻し」として働き始めたことを検証しておくことの重要性には何ら変わりはないと思います。
その上で、なぜ上海万博の開幕に注目していたのかと言えば、北朝鮮の金永南・最高人民会議常任委員長が万博の開幕式に出向き、中国の胡錦濤主席と会談することになっていたからです。
「読売」の伝えるところでは、この会談で胡錦濤主席は「中朝両国の友好協力関係を発展させることは我々の一貫する主張だ。重大な国際・地域問題で相互に支持し、意思疎通と協調を強化したい」と述べたとされます。
「重大な国際・地域問題」が何を指すのかは言うまでもないことでしょう。
この会談が、もし各メディアの伝えるとおりであればですが、金正日総書記訪中への最終確認のシグナルになったことは想像に難くないというべきでしょう。
中国がどのような「解」を提示したのか、北朝鮮側はそれに対してどう「応じる」のか、事態は「最終幕」の緞帳を上げることになるのかどうか(もちろん「最終幕」に入ってもその「第一場」であるわけでいくつかの「場」を重ねることになるのですが)注目すべき「せめぎあい」がこれから繰り広げられることになるでしょう。
「最終幕」というとき、今年が朝鮮戦争から60年という重要な節目の年であることを忘れることはできません。
朝鮮半島に平和を呼び戻すことが出来るのかどうか、それが試される重要な時を迎えています。
米国は「最終幕」の緞帳を上げることに踏み切るのかどうか、すべては中国がどのような「解」を示すのかにかかります。
その意味で、金正日総書記の訪中問題を固唾をのんで見つめているのです。
けさは、まず、きのうからきょう未明の「速報」にかかわって、最小限のポイントだけを押さえて書いておくことにします。
なお、ちょうどこの連休時期、日本のジャーナリストのグループが平壌を訪問しています。もちろん正式の取材団としての訪朝ではありませんが、出かける前、メンバーのお一人と「重要な時期の訪朝ですね・・・」と言葉を交わしました。
現地での「様子」も注目です。
(つづく)
2010年05月03日
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