2010年06月08日

単純なことが、一番難しい!

 単純なことが実は一番難しい、ということはよくあることです。
 しかし、やはりこれしかないのではないか、というのがきょうの話です。

 そこで問題です。
 「脅威」に対する最大の抑止は何だろうか、という問題、さて答えは?

 なぜこんな子供じみた問題を出してみるのかと言えば、「天安」問題があるからです。

 その「天安」問題にかかわっては「脅威」と「抑止力」をめぐる議論がもっと活発におこなわれてもいいのではないかと思うのですが、そうでもありません。

 朝鮮半島をはじめ北東アジアには「脅威」が存在していてそれへの「抑止力」が必要だ、というのは安全保障論の疑う余地のないところだとされているからか、議論はそれほど起きません。

 そうした「脅威」を抑えるためには米軍の存在が欠かせない、あるいは日本や韓国など各国の軍事力の一段の拡充が必要で、その上に日米韓の軍事的な協力、連携を一層緊密にしていくことが不可欠だという「常識」に行きつくというのか、そこが前提となって、そこからすべての問題を考えるという展開をたどる。まあこれが「順当」なところでしょうか。

 この線で書き、語っておけばまず問題はというか波風は起きないでしょうし、識者の言説としても、メディアの論調としても「なべて事もなし」ということになるのではないかといえます。

 さて、だからというべきか、ここが一番の考えどころです。

 信頼醸成こそが最大の安全保障だ、などと言うと「専門家」からは一笑に付されるというのが、まあだいたいの今の風潮だというところでしょうか。

 しかし、一笑に付される、この単純な問題提起をしておきたいと、私は考えるのです。

 なぜ一笑に付されるのかと言えば、単純にして難しいからです。

 単純なことはまず専門家というのか「玄人筋」の受けはよくありません。
 残念ながら、それが今の日本の言論状況です。

 次に、難しいことは、というより取り組むことが大変なことは、それ以上に受けません。

 そんなしんどいことと真面目に取り組むなどという酔狂なことはしてられるかい!というわけです。

 第一そんなことを考えても、書いてみても、何の儲けにもならず、得にもならないということを直感的に知るからです。

 「得」にはならないけれど、実は、「徳」になるのだなどということは考えないわけです。

 いささか斜に構えた書き方になっているので、姿勢を正して書くことにしましょう。

 前のブログで、「利」と「理」ということを書きました。
 いま私たちは「利」については大いに語るけれども、「理」についてはあまりにも語らないという状況になっているのではないか、とそんなことを考えるのです。もちろん「利」も大事であることはいうまでもありません。それを否定しているのではなく、同時に「理」についても大事にする視点がなくてはならないのではないかと、控えめにですが、言っているのです。

 朝鮮半島の「核危機」が声高に語られはじめた90年代のはじめ、私は二度にわたって北朝鮮の核問題と朝鮮半島、日本、北東アジアの安全保障をテーマにした番組を担当しました。1992年のことでした。

 いまでこそ珍しくもありませんが、寧辺の核施設(当時はまだ「核施設と見られる、あるいは、思われる」という限定詞が付いていました)を撮った衛星写真を手に入れて、画像解析の専門家や軍事問題、朝鮮半島問題の専門家に出演してもらうという企画の番組でした。

 ただし、米国の情報機関がそうした衛星画像を持っているという話をヒントに、解像能力は当時の「KH11」など米国の「スパイ衛星」よりは数段劣るフランスの資源探査衛星で同じ地域の画像を撮影して入手したものでした。

 その際、ソウルに赴き、当時北朝鮮からの「亡命者」で一番レベルが高いとされた元外交官にもこの画像を見せてインタビューし、北朝鮮の核開発について話しを聞くという取材も経験しました。

 そして、スタジオに朝鮮半島問題の専門家や軍事評論家、衛星画像解析の専門家を迎えて45分間にわたって話し合いました。この三人は、いずれも当時広く名の知られた専門家でした。

 「北の核開発は日本にとって脅威で、いつ何時日本に向けられるかわからないので北をなんとかしなければならない」という出演者の一致した論調に、私は、「そうであれば、北朝鮮との間に信頼醸成が必要になってくるのではないか、そうして北の脅威を緩和もしくは解消していくことが重要なカギになるのではないか、となると、そのために日本はどうすればいいのか・・・」と問いを投げたのでした。

 率直に言って当時はまだ、北の核開発などと言っても多くの視聴者は半信半疑という受けとめだったと記憶しています。

 また北朝鮮の金日成主席(当時)は「我々は核を持つ能力もなければ、その意思もない」という趣旨の言明を重ねていましたので、北朝鮮の核危機というような言説には「エキセントリックに騒ぎ立てている」という響きがなかったわけではありませんでした。

 私は、そうした一部にある北朝鮮にむけた警戒感、危機意識をいたずらに煽るのではなく、問題の根源にさかのぼって冷静に考えていくべきだというスタンスで番組に臨んでいたのでした。

 出演者のみなさんも、私の「信頼醸成が重要になるのではないか」という問いかけに「そうですね・・・」という受けとめで、いくばくかの分析や考えを述べて番組は終了したのでした。
 が、そこでは終わらなかったのです。

 番組終了後控室に戻るなり、「いや、マイッタねぇー。あなたね、本気であんなことを考えてるの?!」と出演者からあざ笑われたというか、なじられたのでした。「北朝鮮みたいな国を相手に信頼醸成なんて成立するわけがないじゃないか。そんなバカなことを考えて番組を担当しているの?!」と。すると3人の出演者一同、「全くそうだ・・・」と意見が一致したのでした。

 もちろんそこは大人の対応というもので、最後は、お互いに苦笑交じりに言葉を濁して解散となったのでしたが。しかし、ことほど左様に「素人がなにを言い出すやら、ほんに恐ろしいものよ・・・」というのが出演者一同の「あざけり」の、と言ってもいい空気でした。

 私は、この「北朝鮮みたいな・・・」というところに大いに引っかかりがあったのですが、別に「北朝鮮信奉者」というわけでもないわけですから、こうした名の知れた専門家と、番組終了後の雑談という、限られた時間で議論してもあまり生産的ではないという気持ちがあったので、まあそこまでにしたというわけでした。

 しかし、彼らが、「北の核がなぜ危険なのかといえば、問題は韓国なんですよ。北の核をそのままにして統一された日にはそれが日本に向かってくることは間違いない。いまはまだ分断されているからいいが、統一となったら南北一緒になって核を日本に向けることになるから大変なことになる。だから今のうちに芽を摘んでおかなければ・・・」と雑談を交わすのを目の当たりにして、当時、日本を代表する朝鮮半島問題の研究者のひとりで、韓国からも高い評価を得ている専門家の本音が奈辺にあるのかを知ることになり、実に「勉強になる」とともに、複雑な思いを抱いたことを記憶しています。

 しかし、たとえ素人の空想とあざけられても、信頼醸成こそが最大、最強の安全保障だという考えが揺らぐことはありませんでした。

 つまり、それが難しい現実があるからこそ、その困難の依って来たる所を根底から見つめ直して、それをどうすれば変えることが出来るのか、信頼醸成を可能とする状況にむけてどうすればいいのか、どのような努力が必要なのかを深く考え、明らかにしていくことがジャーナリズムに求められる事ではないのか、あるいは専門家と言われる人々の責務ではないのか、と考え続けてきたのです。

 私はこのコラムで「所与の前提」を疑うこともなく前提として言説を重ねていくことの危うさについて何度も書いてきました。

 どうでしょうか、今回の「天安」問題。

 「危機的状況」があるのなら余計のこと、それをどのようにすれば平和的な環境に変えることが出来るのか、そのために必要な信頼醸成をどう創りだしていくのかというベクトルの議論や考察がメディアで、論壇で深められているでしょうか。

 現実はと言えば、上に書いた「専門家」たち同様、脅威を抑止するためには日米韓の軍事連携を一層深め、レベルを上げなければならないという全く逆のベクトルの論調、議論ばかりがメディアや論壇という、言論空間を覆っているのではないでしょうか。

 これが識者の、あるいは専門家といわれる「ひと群れの人たち」の言説、議論でいいのでしょうか、ジャーナリストの語るべきことなのでしょうか。

 と、ここまで、朝、書いて出かけて、夜帰宅したあと、続きを書こうとしたところ、このブログの読者の一人で韓国メディアの報道を毎朝チェックしている方から、韓国KBSで重要なニュースが伝えられたというメールが届いていることに気づきました。

 そのメールの一部を引用すると、
 「今朝(6月7日)のKBSニュースをチェックしていたら、謎だらけのニュースがはさまっていました。
 AP通信が、『米軍官吏』の言葉を引用して報道したというクレジットで、『天安艦、沈没当時、米韓合同軍事演習を行っていて、北の魚雷などの攻撃に対する脆弱点が明らかになった』とのこと、ここまでは、いいんですが、次のくだりです。
 『ある、米軍官吏は、北の所行を前提としながらも、天安艦の沈没が、北朝鮮の意図的攻撃というよりは、ある強硬派の司令官の所業か、あるいは、(北朝鮮側の)、事故、訓練中のミスであり得ると分析した。』
 随分、時間が経過していますが、今になって、こうした内容を発表する意図、背景が何なのか、やはり、気になりますね。あきらかに、これまでの、韓国の強硬姿勢を支えていた論拠を、内から崩しかねない要素が含まれてますね。」
というのです。

 APの情報をキャリーする形で伝えられたニュースですが、調べてみると、韓国・中央日報と聯合通信でも、関連する情報が伝えられていました。

 まず中央日報です。APをキャリーする報道となっています。
 天安艦沈没事件が発生したとき、韓国と米国両国軍は事件発生場所から75マイル(120キロ)離れた所で合同対潜訓練をしていたとAP通信が5日(現地時間)、報道した。
AP通信によると韓米キーリゾルブ訓練の一環だった両国軍の対潜訓練は3月25日夜10時に始まり、翌日(26日)夜9時に終わったと在韓米軍スポークスマンジェイン・クライトン大領(ママ)が述べた。 また天安艦沈没事件が発生する前日、米駆逐艦2隻と、違う艦艇が(ママ)韓国潜水艦が標的役割をする中、追跡訓練をしたと付け加えた。韓国海軍関係者はこの報道に対し「天安艦沈没当時、韓米両国が忠南泰安半島西格列飛島以南の海上で訓練中だったのは合っているが、事件当日、対潜訓練があったかは確認していない」とし「事件が発生した海域とは120キロ以上離れていて事件を認知することは難しかった」と述べた。

 しかし、聯合通信の報道を読んでみると、中央日報では、どういうわけか、肝心な部分が脱落していることに気づきます。

 聯合通信の伝えるニュースです。
 【ソウル7日聯合ニュース】北朝鮮の魚雷攻撃で韓国海軍哨戒艦「天安」が沈没した3月26日、直前まで黄海では韓国と米国による海上演習が行われていたことが分かった。
 国防部の元泰載(ウォン・テジェ)報道官は7日の定例会見で、韓米合同軍事演習「キーリゾルブ」が3月25、26の両日、泰安半島に近い黄海上で実施されていたと明らかにした。「天安」が沈没する前の午後9時に終了し、演習実施海域は沈没地点から170キロメートル離れていたと説明した。日中は対潜水艦演習も行われたと承知しているとした上で、海上から170キロメートル離れていれば、潜水艦の探知は不可能だと述べた。
 韓国軍と民間による沈没事件合同調査団のムン・ビョンオク報道官よると、当初の演習日程は28日までだったが、沈没事件のため中断された。
 元報道官はまた、ロシアの調査団が合同調査団の調査結果に疑問を提起したとの報道に対し、「ロシア調査団は外部に一言も語っていない」と強調した上で、報道された内容は事実ではないと否定。調査団が本国に帰れば、ロシア当局から発表があるだろうと述べた。
 一方、哨戒艦沈没事件との関連で、パトリオットミサイルを配置することは検討していないと言明した。


 以上が聯合通信の伝えたところです。
 「韓国軍と民間による沈没事件合同調査団のムン・ビョンオク報道官よると、当初の演習日程は28日までだったが、沈没事件のため中断された。」という重要な情報が中央日報では欠落しています。

 一つのニュースの中に矛盾する情報が盛り込まれていますので、これらの情報をどう読み解くのか、非常に難しいところですが、要は、「天安」は沈没まで米軍との共同訓練(演習)に参加していたということ、そして「天安」沈没によって28日までの予定を繰り上げて訓練は中止されたということが読み取れます。

 訓練海域と沈没現場が120キロ、もしくは170キロメートル離れていたと、さりげなく、強調されている(形容矛盾ですがニュースの内容がそうなので仕方ありません)のですが、それでも常識的に考えて米韓両国の軍艦艇が多数参加して展開している共同軍事訓練(演習)の最中に北朝鮮の小型の潜水艇が誰にも知られず潜入して「天安」に向けて魚雷を発射して、音もなく姿を消したということになります。

 軍事に通じていない素人の私でも、こうした米韓軍事訓練(演習)の最中に北朝鮮の潜水艇が潜入して魚雷を発射するという所業に及んだ場合、これは戦争(の勃発)以外の何ものでもないというぐらいのことはわかります。

 加えて、「脅威と抑止力論」に立たない私としては矛盾するもの言いになりますが、もしこのニュースが伝える通りであれば、世界に誇る米軍の最先端の軍事力と韓国海軍の連携した対潜作戦訓練をかいくぐって北朝鮮の小型潜水艇が潜入できたということは、米韓両軍の力ではなんの「抑止力」にもならないという、はなはだこころもとない現実をわれわれは目にしてしまったということになります。

 あるいは、そうでなければ、日頃多くのメディアで、訓練用の航空燃料もないと揶揄されているあの北朝鮮の軍事力ですが、特に海軍力だけは、ロクに飛べもしない旧型の航空機群と違って、装備と錬度も飛躍的に高く、米韓軍のそれをはるかに上回る、つまり世界に冠たる水準になるということになります。

 また、対潜訓練が行われていたということは軍艦艇だけではなく、当然のことながら対潜ヘリなど空海の連携で訓練が展開されていたはずです。

 ということになると、くだんの北の潜水艇は一体どのようにしてこの海域に潜り込み、どうやって帰って行ったのでしょうか。

 当局側が、あるいは李明博政権、そして米国サイドが、韓国国内で広がる「疑念」を解こうとしてさまざまに説明を加えていけばいくほど、論理的に矛盾を深めていくという推移をたどっていると言わざるをえません。

 また、聯合通信のニュースの末尾にロシアの専門家グループに言及がありますが、国防部の報道官がこうしてわざわざ「『ロシア調査団は外部に一言も語っていない』と強調」というのは、かえって疑念を深めることになってしまい、言えば言うほど言い訳がましくなるという印象を持ってしまいます。

 重ねて言いますが、この一連の報道の読み方は実に難しいところです。
 が・・・、注意すべきは、米国サイドが微妙に軌道修正をはじめていることが読み取れるということです。

 そして、KBSの報道にあるように、北の「強硬派の所業」か、ということを持ち出したところまでは、まあまあ、「わかる」としても、「北の訓練中のミス??」という「珍説」まで持ち出しはじめたというわけで、俗な言葉を引けば、なにやら「シッチャカメッチャカ」という展開になってきたとしか言えません。

 一方、中国国際放送は7日夕方以下のように報じました、
 韓国国防省の元泰載報道官は7日、哨戒艦「天安」号が沈没した当日、韓米両国が事件発生地点から170キロ離れた海域で海上軍事演習を行ったことを認めました。 元泰載報道官はこの中で「韓米合同軍事演習は3月25日と26日に泰安半島付近西部海域で行った。26日午後から夜まで、潜水艦対策と浸透対策の演習をしたが、米軍潜水艦は演習に参加しなかった」として、さらに「この日の軍事演習は『天安』事件発生前に終了し、しかも、演習する場所は事件発生地点まで170キロも離れ、潜水艦の探測が難しい」と述べました。 韓国のマスコミは、元泰載報道官のこの話は、韓国国民の間で言われている「『天安』号が米軍潜水艦と遭遇して沈没した」ということを打ち消すためだと見ています。

 一つの情報源であることは確かだろうと思いますが、それぞれが微妙に違っていて、意図してか、意図せずにかは判然としませんが、「混乱」が生じはじめています。

 APの情報をめぐる「詮索」は、ひとまずここまでにしますが、なにやらわけのわからない情報が錯綜して、どうもおかしなことになってきました。

 韓国軍−国防部当局、李明博政権さらには在韓米軍当局、米国は、このまま、あやふやにして収束するのか、あるいは、続報でなんらかの「筋道」をつけて「収束させる」のか、もう少し様子をみてみる必要があります。

 しかし、ふたつだけ、加えておくと、
 まず、5月31日から韓国に調査に入っていたロシアの専門家ティームが7日帰路についた(「ロシアの声」)というロシアサイドの報道がありますが、それだけで調査の中身についての言及はなく、実にそっけない報道となっています。
 
 それどころか、「ロシアの声」では、別建てのニュースとしてですが、天安問題が国連安保理に提起される背後で中国とロシアが「意見交換」と、報じています。

 その記事の中で極東研究所・朝鮮研究センターのアレクサンドル・ジェビン所長の以下のコメントを引きながら次のように伝えています。

 「現場から引き上げられた魚雷と爆破装置については当初、ドイツ製との報道があった。米韓海軍ともにドイツ製を配備することもあるからだ。その後、北朝鮮製であるとの説が唱えられるようになったが、専門家からは非常に強い疑問が寄せられている。事故現場となった海域では、最新の追跡システムを搭載した米韓の軍用艦が軍事演習を実施していた。北の潜水艦が全く気づかれずに通過できたとの見方はおかしい。天安を沈めたとされる魚雷の残骸も大問題だ。船を真っ二つにした魚雷のボディ部分はほとんど何にも触れていないようだし、部品の一部も完全に無事なのだから。」
北犯行説の主な証拠となっているのは、魚雷の残骸につけられている識別番号だ。とはいえそれも工場の製造ラインで機械により印字されたわけではなく、マーカーを使い手で書かれている。さらにジェビン所長は、「もし魚雷が北朝鮮製だとしても、天安を沈めたかどうかは別問題」と主張する。
「南北間で幾度となく武力衝突が起きた現場海域では、非常に多くの魚雷が沈んでいる。うちひとつが爆発し、海底に沈み、発見されたということもありえるのだ。だから北朝鮮は米韓による挑発行為ということが出来る。(ベトナム戦争勃発の契機となった)トンキン湾事件でも米国は同様の手口を使っており、北の主張には一定の根拠がある。」

 とうとう「トンキン湾事件」までが登場する仕儀となっています。

 もうなにがなんだか、さっぱりわからなくなってきます??

 そして、もうひとつ。「AERA」の最新号(6月14日号)では元朝日新聞記者で軍事ジャーナリストの田岡俊次氏が「天安の行動書かず/釈然としない報告書/謀略とも思えないが」と題して「天安問題」を取り上げています。

 そこでは軍事の専門記者としての立場で今回の「報告書」に疑問を呈しているのですが、その詳細は「AERA」に譲るとして、「とはいえ、韓国が事件を捏造することも考えにくい。北が崩壊し統一となれば韓国の負担はドイツ統一後の西独の比ではなく、援助で現状維持を図る韓国が、北を追い込む謀略を企てる理由がない。なお釈然としない気分から脱しきれずにいる。」と結んでいます。
 
 この文意をどう読み取るのか、なかなか手ごわいものがあります。

 田岡氏が普天間問題と「天安」との関連に無知でいるというようなことは考えられませんから、ここで普天間問題に全く触れられていないというのは、このことを除けば「北を追い込む謀略を企てる理由がない」ということだよ、つまり・・・、と問わず語りに何かを伝えようとしているのか、あるいは本当に普天間問題などとの関連性に思いを致すことがない(つまり軍事問題専門家としてはまったくの「バカ」ということになりますが)と思っているのか、さてどちらでしょか、という含みの多い論考となっています。

 さて、この稿の本筋は、6月2日の地方選挙に見られた、韓国市民の力強さと健全さこそが、強力な安全保障になっているということ、そして、信頼醸成こそが最大、最強の安全保障なのだということを、韓国の地方選挙を具体例にして書こうとしていたものです。
 
 しかし、「天安」問題の報道に「奇妙」な展開があったので、「脱線」せざるをえませんでした。

 本筋についてはあらためての「続き」とすることにします。
 6月7日深夜記(つづく)


posted by 木村知義 at 11:09| Comment(1) | TrackBack(0) | 時々日録